花火

迎え火を焚くと松脂のいい匂いが辺りに拡がります
今年もお盆の入りを迎えました

夕方になって、我が家にも親戚の方々が
次々と御焼香に来てくれております
その合間を縫って、お墓参りに行ってきました

子どもの頃はお墓参りが大好きでした
変わった嗜好だとお思いでしょう?

私の部落の墓所は、数年前に新しく区画整理をしたので
今では都市部のそれと変わりありません
でも、以前は山肌の斜面にそれぞれの家ごとに
墓石を並べただけの、遺跡のような迷路のような
そんな様相をしておりました

湿った地面に、老木の根が這い回り
何十年前のものか分からないほど旧く苔むした墓石や
最近建てたと思われる新しい墓石が不規則に連なっていて、
ところどころ「こんもりと土が盛り上がった所」もあり、
昔話の物語に出てくる墓所そのものでした

それでも、怖いとか不気味という感じは全然無くて
むしろ、お盆になると村中の人が集まるお祭りみたいな場所で
わたしは好きでした

墓所に着くと先ず、自分のうちの墓石に迎え火を焚いて線香を上げ、
そのあと、兄二人を先導して「次はここ」「今度はこっち」と
親戚筋の墓所を順番に訪ね歩くのが楽しかったのをおぼえています

兄弟の中で私だけが、巡る場所の全てを正確に覚えていたので
兄弟内では「墓参りマスター」と呼ばれていました(笑)

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夏の記憶、お盆の記憶というのは
少しさみしいものが多いような気がします

ほんのいっとき、家族全員がそろう
そして従兄弟や親戚が集まりとてもにぎやかに

でも、そんな時間もすぐに終わり
すぐにまた去っていってしまう
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静かになったあとの家の庭で
花火をしたことを思い出します
うちでは、花火というのは「銭に火をつけて遊ぶ行為」
と位置づけられており、買ってくれたことはありませんでした

でも、東京の伯父さんがうちに来ると
そういうものも買ってもらえたので、
たまに手にする花火は何よりもうれしいものでした

花火のはぜる音と火薬の匂い、
夜に瞬くほんの数秒の光は
子どもの頃の記憶を鮮明に呼び起こします

夕べは久しぶりに花火をしました
この歳になって花火というのもおかしなものですが
子どもの頃にできなかったことなので、
ときどき無性にやりたくなるのです
手持ち花火のおとなしいものが一番好きです

外で花火の支度をしていると
母が参加してきました
実は、花火を買ってくることを
真っ先に勧めたのは母でした
なんとも、こそばゆいものでしたが・・・・
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その時、少し話をしました
孫に花火を買ってやって
あんなにうれしそうに笑っているのを見てから、
子どもの頃に花火を買ってやらなかったことを
今は少し後悔していると

2 人のご厚意をいただきました

いかしかた

「道具屋」さんのページで
先日から「夏の一枚」展の紹介が日替わりで掲載されています

自分で撮った写真が掲載されるだけでうれしいものですが
さらにそれらが、絶妙な按配で活用されていると
もうそれだけで、ほとんど満たされてしまって
本番までに桃源郷を越えてしまうのが私のよくないところ(^^;)

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写真・食器・小物、
それぞれに自分で満足のいく仕事となるように
時間と手間を投入するわけですが
最終的に、ものに命を吹き込むのは
それをすくい上げる「使い手」との共同作業なのかもしれません

誤解を恐れずに告白しますと、私の場合
食器は 【仕事8割 + 浪漫2割】
小物・その他は 【仕事6割 + 浪漫4割】
写真は 【仕事1割 + 浪漫9割】
という感じです

どの部分に価値を見出すか
これは製作者の意図とは関係なく
最終的に手にとってくれた「使い手」が決めること

写真について、仕事1割などと言いましたが
実際のところは趣味100%でしょう

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日記代わりに写真を撮り
時々、見返しては当時を振り返る
そのため、他人に見せることはあまり考えていません

あるいは、そういう作為の無いところが
何か琴線に触れるのかもしれませんね

うまくは言えませんが、
私の作品はそういうものです

誰かと比べて見劣りするのは
もう、ずいぶん前からわかっていたこと

それでも敢えて世に出すのは
それをすくい上げてくれるひとがいたからです

作ったものに責任を
そしてその活かし方は誰かと見つける
物が作品として生きていくためには
必要な過程だと思います
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基本、私はminority
久しぶりに勇気を出して
その数少ない誰かに会いに行こうと思います

みな様にお会いできる日を楽しみにしております

2 人のご厚意をいただきました