ちゃんと自分で考えよう

震災から時間が経って
テレビやそのほかのメディアでも
その話題に触れることが少なくなってきました

あの時、私は直接の被害も無く
ただ時間が経ち、状況がよくなることを待っているばかりでした

テレビなどから
刻々と被害の状況が伝えられるその内容を
今になって思えば完全に鵜呑みにしてしまっていたと思います

あの激動の中
さまざまな情報が錯綜し
必ずしも正しくないことも伝えられたりしました
それでも、見聞きしたことをことさら勘ぐったりすることもなく
「正しい」情報として捉えていたということを
今改めて考え直しています

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読書の秋に、というわけではありませんが
ちょっと小耳に挟んだ本に興味を持って
先日手に入れてきました

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門田隆将著 死の淵を見た男

これは、あの震災の直後
福島第一原発で何が起こったのか
そして、あの地獄のような状況の中で
文字通り命を賭して、
ふるさとを、日本を守った人たちの記録です

原発と聞くと、ある種の感情を想起してしまうのですが
まずは、そういった考え感情を棚に上げて読んでいただきたい

人として、何をするべきか
そして極限の状況の中で自分に何ができるか
端から見ているだけの人には、
その現場に立つ人間に対して何を言う権利も資格も無いことを
今改めて思います

福島第一原発、所長・吉田昌朗
当直長・伊沢郁夫
そして多くの現場技術者たち
一貫して中立の立場を堅持した上で
当時の現場を知る人に詳細な取材を行い書かれたもの

これを読んで思うことは
あの時、リアルタイムで伝えられたことと共に
後になって伝えられたことでさえ、
真実とはどこかずれた内容を
私は受け取っていたのではないかということでした

未だ収束する事の無い「最悪」の状況と
私たちは思っているかも知れませんが
現場で闘った彼らがいなかったら
「チェルノブイリの10倍」という
人類史上最悪の状況がそこには存在していたということ
そして、
それを食い止め、最悪を阻止した人たちがいたということを
これからを生きる私たちはきちんと知っておかなければならないと思います

正直なところ
これを読んだあとでも、
私の原発反対という気持ちは変わりません
しかし、現状は間違いなく自分達が選んできた選択の結果だということも
決して忘れてはならないのだと思います

秋の夜長にぜひこの本を
そしてちゃんと一人ひとりで考えることを
おぼえていていただけたらと思います

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