家族の肖像

さて、更新作業も再開したということで
最近感じたことを少し、書き綴ってみたいと思います

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先月の終わりに農作業の合間を縫って
家族で桜を観に行くという、
我が家としてはめずらしいイベントがありました。

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昔から、家族でべったりというのが
なんとなく恥ずかしい事のように思っていたため
高校を上がってから、ほとんど両親とは話すことも
無くなっていたのですが、

自分自身、それなりに苦労することもあったり
今よりもずっと大変な環境でここまで暮らしてきたことの
偉大さを思ったりして、
自分の程度が知れてくると、両親の見えなかった部分が
見えてきたりして・・・・。
(実際問題、「私」という人間は親にとってはものすごく
育てにくい子供だったろうと思います。)

この歳になって、ようやく家族というものに
向き合う心境というものがわかってきたような気がしています。

最近では、農作業や共通の趣味である山野草や木の花、
昔の暮らしの話などを通して、
それなりに楽しい会話を持つ時間というのも増えてきていました。

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いつもの農作業の休憩時、
母が、今年こそは家族で桜を見に行きたい、
という希望を言ってきました。

連休の前後、
特に桜の時期は、田畑の準備の最も忙しい時期と重なるので
毎年のように桜見物の予定はお流れとなるのが通例でした。

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しかし今年は、農作業の準備も段取りよく進めており、
桜の予定をかなり優先度の高いものとして考えているようでした。

これならば、一日くらい休んでも大丈夫だろうと思い
両親に行ってくるように勧めたところ、
あんたも来なさい、と。

正直、あまり気乗りがしなかったので
みんなで桜を見に行く理由について問うと母は、ひと言

「家族なのよ」と。

む・・・、家族か。
ならば致し方あるまい。

(恥ずかしいので格好よく書いていますが、実際には方言でしゃべってます・・・(^^;))

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当日の朝、
手早く準備を済ませた家族を乗せて
車は一路、盛岡へ

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御決まりの失敗パターンに陥らないように
車内の雰囲気の維持にはそれなりに気を遣いましたが、
(下記参照)時期がよく、行きの車窓からは
山桜やコブシ、柳の若葉などが美しく、
山野草花の好きな我々は、幸いにも楽しく過ごすことができました。

☆田舎の家族行楽の御決まりのパターンとして、
出かける前から、「準備が遅い」だの
「行き先が決まってない」だのと、喧々諤々
行きの車内で既に険悪な空気を作ってしまって
観光地についても人が多くてさっさと帰ろう、ということになり
せっかくだから、なんか食べて帰ろうという話もまとまらず
結局、家の近所でいつものラーメンを食べて帰ってくるだけになった。
・・・・という話は我が家に限らず、よく聞きます(^^;)

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目的の桜の名所は、高松の池公園だったのですが、
高速道を降りた近くに御所湖公園があることに気付き
時間も早いしせっかくだから、と寄り道をすることにしました。

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この判断は大正解で、
訪れた場所は、桜が満開
おまけに観光客も少なく
のびのびとゆっくりと過ごすことができました。

ところで、
桜園の中には、南部曲り屋の復元した建物があるのですが
これが私の両親にとっては、まさにリアルタイムでの記憶であり、
桜以上に足を停めて見入っていました。

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農具や馬具などは、説明書きを見るまでもなく
すらすらと解説してくれ、また当時の暮らしぶりなども
話してくれました。

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ちなみに、
これが当時の普通の生活水準だと思われると心外だそうで、
これは「かなり御金持ちの家」なのだそうです(^^;)
少なくとも、うちはこんな立派じゃなかった、と。

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御所湖を後にして、昼過ぎに
最初の目的地である高松の池を目指したのですが、
こちらは県外にまでその名を轟かす桜の名所。
やはり、近くまで行ったところで渋滞に巻き込まれました。

幸いに、30分ほどで駐車場に入れたため
念願の桜見物をすることが出来ました。

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桜は満開、ついでに観光客もいっぱい!
池の周囲に隙間なく咲く桜は確かに見事でした。

ですが、本音を言うと、少し飽きてしまったのも事実・・・(^^;)

美しい桜も、そればかり見ていると
若干、食傷気味に感じてきます。
時々、梅や枝垂桜などが見えると
不思議と、ほっとしたものでした。

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さて、
私は今回の家族行楽には
ある程度の覚悟を持って参加しました。

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もともとこのようなイベントの少ない我が家にとって
家族で過ごす数少ない今日の機会は、
きっと、ずっと記憶に残るであろうことを。

写真が趣味の私ですが
家族の写真だけは意識して撮らずに過ごしてきました。

撮る機会は何度となくあったのですが、
ファインダーに家族の姿を捉えると、
思わずカメラを背けてしまっていました。

写真を趣味にする先人達がよく口にする言葉、
普段何気なく撮ったものほど、後になって意味合いを増す
そして何気なく撮ったものが、最初で最後のものになることも
ままあることだと。

私を育ててくれた祖母の写真は
結局一枚も撮ることができませんでした

やがて、そのときが訪れ
一人でこの写真を見返したとき
どんな気持ちになるのか、容易に想像できて
それがたまらなく、耐えられなくて
どうしても撮ることができなかったのを覚えています。

いま、私の前には一枚の写真があります

さて、わたしはこの重圧に耐えられるのか
耐えられなくなって消してしまうか、
あるいは、「最後」を先延ばしにするために
これから絶え間なく撮り続けるのか。

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ようやく向き合えた
・・・向き合う覚悟の入り口に立てた、
家族の肖像に、
後悔した時救われない事の無い様に・・・・

生きるってしんどいことだと
思いながらも、今日も変わらず生きていますょ

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